人生も半分を過ぎたので

 100日後に死ぬワニを思い出した。
 とあるツイートがバズって、私もその鬱病克服体験漫画(という体裁?)を読んだのだが、後日、その作中に出て来た「イケダ先生(仮名)」が実在する人物で、「自称カウンセラー」(無資格者)であり、高額なセミナー代を標ぼうしていると暴露されたとたん、それまでの「良かったツイート」が雲散霧消し、イケダ先生へのカウンターとしての意見が医療従事者や当事者、及び当事者の家族からツイートされている。

 確かに、すごくがっかりした。ワニの時のように。

 あ、ワニは別にがっかりはしなかったか。なんというか、鼻白む感じ。

 「そっかー、宣伝漫画だったんだ…」

 本当に宣伝漫画だったかどうかはわからない。作者の真実なのかもしれない(漫画上では男性キャラクターを主人公として描かれているが、作者は女性であるらしい)。でも、漫画では自称カウンセラー氏の名前はカタカナで表記されているものの固有名称はそのままだったし、怪しさは残る。

 こういう話、日本人って本当に嫌いよね。裏切られたって気持ちになるからかしら。

 ちなみに、私が読んだ感想はと言うと、「んー。まあうまくいったなら良かったけど。うまくいくのか……」であった。

 物語は小児期から父親の過干渉と虐待にさらされた男性が、父親が学歴コンプレックスを持っていて勉強ができると褒めてくれることから勉強にのめり込むようになり、学校で良い成績をおさめ、良い学校に入り、頑張った末に進学校で燃え尽き症候群のような状態になってそれ以前からうっすら忍び寄っていた鬱病を本格的に発症。大学は親の勧めに応じたふりをして受験に行かず、三流大学に入学して上京。大学生活も上手くいかなかったものの会社には正社員として入社でき、そこから彼女もできて、しかし、鬱病は一進一退治らず。
 彼女の勧めで認知行動療法やアドラーの心理学などを学ぶがしっくりこず、不眠と抑鬱症状の悪化からドラッグショッピングを繰り返し、10年以上鬱病と戦う。
 その末、イケダ先生(仮名)と出会い、その睡眠療法によって、「自分の声を聞く」を主体とした鬱病の克服法を身に着け、寛かいした。という話。

 この話を読んだ最初の感想が「男の人だから上京が許され、毒親から離れられたとかラッキーすぎる」だった(笑)。
 突っ込むところはいろいろあるけれど、「トラウマはない」「自分が鬱病になりたがっているから鬱病になったし、今も治らないのだ」「過去は関係ない」という考え方なので、親との関りは「上京した」以降、何も出てこない。
 お父さん…なんも言ってこないん?弟もいたよね?グレてたけど大丈夫だった?女性の場合「結婚はまだか」とか「孫の顔を見せろ」とかそういう方向に過干渉は変わっていって面倒くさいのよ。毒親との関係がすっきり断ち切れるなんてその部分の方がすごいから漫画にしてよ。って思ったりして。

 それは置いておいて。

 主人公がハマった(しっくり来た)やり方は、「とにかく心に聞く」というやり方でした。それまで自己肯定感が低かったのに、イケダ先生の催眠療法による施術で「幼い自分」に巡り合い、「自分を愛すること」を思い出し、多幸感に満たされる。というシーンがあったけれど。
 どうなんだろうか。私のことで恐縮なのだが、「声、めっちゃ小さくてなんも聞こえん」のよ(笑)。

 基本的にやり方は私も同じことをしている。メンタルが弱っているとき、何かしたくないことを頑張っているとき、私の心は何も言わない。ただ頑張らなきゃやらなきゃしか言わない。しかし、涙が出る。体が「ちょー、故障してまっせ」とサインを出すのだ。これはガチ鬱(精神科に通って抗うつ薬を飲んでいた)を経て、こうなった。たぶん、体が「メンタルに任せておくと死ぬ」と思ったんだろう。
 何も感情が動いていないのに涙が出て、食欲が極端に落ち、気持ちが沈みこむところまで来たら、はじめて「お、どうしたんだ?」となる。それまではぶっちゃけわからない。むしろやるぞやるぞと気持ちが逸っている。
 
 そこからだって、「〇〇なのかな?」→「泣かない」→「違うのか」、「〇〇かな?」→「目の奥がつーんとする」→「〇〇を頑張らなきゃ」→泣く→「それかー」って感じ。もう、本当に難しい。

 結婚してからは、旦那さんが先に察知して「それは止めた方がいい」と言ってくれるので助かっている。それに対して「大丈夫だよ」と言うと泣くので、「大丈夫じゃないのか」とわかる。鬱病メンタルの人間ってこんな感じの人が多いような気がするん。

 漫画へのカウンターとして「薬を飲まないでカウンセリングだけで治そうとすることは危険」と言っている人もいた。それもわかる。
 
 だいたい、人間の病気の場合、肉体の病気も精神の病気も治し方は同じだと私は思っておりまして。

 体の病気、例えば風邪の場合。
 対処療法薬と根本療法薬の二種類がある。頭が痛いから鎮痛剤、咳が出るから中枢神経に作用する咳止め薬、痰が絡むから去痰剤や分泌物をサラサラにする薬、それらは症状に応じて飲む。これが対処療法薬。

 熱が高いからと言って、解熱剤を飲めば風邪が治るわけではなく、熱が高いことによって苦しくて寝れないとか、起き上がってご飯が食べられないって状態を緩和するために飲む。
 クーリングはもちろん必須として、高熱で苦しんでいるよりも、解熱鎮痛剤を飲んで睡眠がとれ(体力の回復)、口から好きなものを少しずつ食べることができ(栄養の確保)、水分が摂れる(脱水症状予防)の方が楽だし、治りだって良いだろう。

 しかし、風邪の原因が細菌性の場合、いくら体力を回復させていっても、やはり限度があり、抗生物質を飲まないと治癒は難しい。他にも、抗ウイルス薬のある病気、インフルエンザや水痘など。これらはウイルスにピンポイントで効くから、きっちり飲んでウイルス量を減らすとよく治る。これらが根治療法薬である。

 鬱病の場合、対処療法薬にあたるのが、医師が処方する抗うつ薬や抗不安剤、睡眠薬などではないかと思う。

 抗うつ薬を飲んで落ち込む気持ちが少しく救われ、その間にご飯を食べたり風呂に入るなどの日常のルーティンを取り戻していくことは肝要だし、眠れずに鬱々と考え事をするのなら睡眠薬で眠って体力を回復することは非常に有用だ。

 だが、それで治るってことではないと私も思う。

 鬱に至った原因を取り除かないと、けっきょくもとに戻るわけですよ。

 その根治療法薬を探してみんな右往左往している感があって、手軽な、簡便な方へ流れて、医師からの処方薬を自己判断で飲まなくなるっていうのは危険だということですね。
 
 抗うつ薬を飲んでいた時から、10年経ちました。寛かいから10年です(いや、寛かいした!と断言できるのは去年くらいからか)。

 私の場合は仕事が鬱病の原因で、それを取り除き、執着である「働かなくてはいけない」を手放したら、驚くほどメンタルが元気になりました。

 その特効薬となる「原因の除去」に関わる「原因」は千差万別人それぞれで、鬱病は特に人と同じものはきっとないだろうからわかりづらいだけで、ぐちゃぐちゃになった糸を解していって、一つずつでも原因をなくして行けばだいぶ楽になるのだろうと思います。

 最近ね、夢を見るんです。悪夢です。
 ほぼ、「受付で患者さんがたくさん来て困っている」という夢です。
 辞めたときには、コンビだった看護師さんが嫌で嫌で、その人が嫌で仕事に行きたくなかったのに、1回も出てこないの(笑)。
 どんだけ受付が嫌だったんだよ。って思った(笑)。
 それも、ピンポイントでボスなのね。ボスが、そんなにも嫌いだったのが、今になってようやく真からわかった。
 鬱病になって、受付と助手、両方やっているのが負担になって嫌すぎるから、受付の仕事は辞めて助手専業にしてくれと懇願し、叶わず、人員が減ったことで辛うじて願いが叶い、そこから5年、受付には入らなかったにも関わらず、いまだに見る悪夢は受付。
 その前の14年間、本当に頑張ったと思う(遠い目)。

 私のように分かりやすい人は、単純に原因(私の場合は仕事)を辞めたらいいと思う。つか、それ以外にない。異動しても良くならなかったもん。

 ただ、「考え癖」「認知のゆがみ」も一緒に治していく必要があって、そのためにも認知行動療法とかは私は良いのではないかと思うのよね。

 私の前述二つの部分は旦那さんが根気強く治してくれた。深い愛と忍耐力を持って、繰り返し、私に「それは違う」「そうじゃない」と歪んだときに正してくれた。私も旦那さんを信用しているから言葉を受け入れられたし、自己肯定感も上がって、今に至る。

 そういうと、「けっきょく恋人?パートナー?」って唾棄されるだろうなぁ。昔の私もそうだったもんな。
 でもなー。そこなんだよな。とても残酷で悲しいお知らせだけれども。そうなの。

 異性(性愛の対象)でなくてもいい。それは間違いない。友達だって良くて。ただ、すごく愛することができる相手に、すごく愛されると、確かに人は救われる。

 薬をきちんと飲んで、動けずただ溶けているだけの時を、少しでも空の色を見られるようになって、少しずつ考えたり、休んだり(動けずにいる時間というのは正しく休んではいないのです)、そうやって許して体と気持ちをゆるゆるとできるようになったら、はじめて治そうって思えるもんだからね。駄目なときは駄目。それもまた真実。

 私はガチのとき、友達に救われた。大げさでなく、彼女に命を救われたと思っている。彼女のような人が友達として近くにいてくれた私は運が良いし、旦那さんに巡り合えたのも幸運(その友人が旦那さんを紹介してくれたというのも奇跡)。

 鬱病は「これで治る」は絶対なくて、人それぞれだから、「絶対痩せる」と同じくらい疑ってかからなきゃいけないよね。

 でも、軽症の8割は正しく休めば良くなるから、まずは自分の体と心が喜ぶことを(犯罪にならない程度に)思いっきりやると良いと思うよ。良くなっては悪くなっての繰り返しになってもメゲずに。

 ああ、あと、「鬱病は本人のせい」はないから(あの漫画にありましたが)。そういう人(病気でいることが心地よくて治そうとしない人)はいるけれど、すべてに人がそうじゃないし、みな苦しいし、病気は肉体の病気も精神の病気もその人のせいではないことは確実。
 自分で自分のことを責めすぎているのに、もうそれ以上は責めないで。たまには他人のせいにして美味しいものを食べてもらいたいと思うのでした。

 今は生まれてこの方、一番健康なメンタルしております!!

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