たくましい女性と怪談

 図書館が利用可能になり、書架の間をゆっくりと歩くことの幸せがどれほど得難く、ありがたいものであったのか身に染みている今日この頃。
 私としては、本はそんなに読んでいない方だと思うし、読んでいる人、ひいては「本が好きな人」からすると幼稚園児並みに読書してないマンなのですが、それでも本は好きだし、図書館はもっと好き。

 ということで、最近借りて読んだ本の話。

 『ミッキーたくまし』(西加奈子・著)

 ミッキーたくまし - 西 加奈子
ミッキーたくまし - 西 加奈子

 前作、『ミッキーかしまし』の第二弾。横浜市立図書館の蔵書にはすべて本のお尻(え、なんていう部分?下?)に入荷した年が押印されているのですが、「17」とあったので、「なんだ、3年前に入った本か。最近の本だな」と思って借りてみたら2009年に出版された本だった。騙された。図書館あるある。騙されたのは今回が初めてではない。
 と言うわけで、内容を読んでいると「え。まだ西さんご結婚されてない?え?30歳になったばっかり?え?え?」ってなり、その弾けた若々しい文体に圧倒されました。
 
 私は自分で言うのもナンですが、とにかく真面目に生きてきた公務員みたいな(比喩がおかしい)人生及び性格で、橋は叩いても渡らず叩きすぎて壊してから「クッソ、めんどい!」と川に飛び込むような人間なので、西さんみたいな破天荒というかえと、なんていうか、えと、そ、そう、自由な人に憧れがあります!
 西さんなら、橋を叩くとかしないで「なんやのん、これー!」と爆笑して、橋を壊すか。……最終的なところが同じになってしまった。

 まあ、楽しい本です。こうやって生きていたら周囲の人に好かれてかわいがられるだろうなー。あけすけにものを言うところとかチャーミングだもんなー。と、自分には欠片も存在しない成分で構成されている生き物を織の外(もしくは内側)から眺めているような感じ。
 そんな西さんも、今は「お母さん」になられているのですね。たぶん、あんまり変わってないんだろうな。すてき。


 『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった一年間のこと』(花田菜々子・著)

 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫) - 花田菜々子
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫) - 花田菜々子

 タイトル出オチ感。そのままの内容です。が。

 この花田さんという方、めちゃくちゃ文章がお上手でいらっしゃる。たまにいるのよね、エッセイ書くのすごく上手い人。
 内容はタイトルにある通りです。でも、「出会い系サイト」と言うけれど、いわゆる恋愛系のサイトではないようなんで。エロいことをしようと鼻を膨らませて来た男性に本を勧めたわけではなく、いろんな出会い、出会いからの気づき、コミュニケーションスキルの上達、等などとても読み応えがある素敵な本でした。

 ヴィレッジ・ヴァンガードで長らく店長をしてらして、とてもヴィレバン愛があって、でも、初期のヴィレバンからどんどん乖離してゆく会社に心を痛めつつ、精神を削られつつ、でも、「ここを辞めたら、これ以上に楽しい仕事はできないんじゃないか」って気持ちで辞められない。みたいな葛藤が、「ほんそれー!あたしもそうだったのー!!」と手を握りたい気持ちに。
 なんだろうね、あれ。一種の病気かね。私も耳鼻科で働いて、別業種で働いて、その時に「医療の現場でまた働きたい!クリニックじゃなきゃ嫌だ!」って強く思いすぎて、どれだけブラックだろうと「ここを辞めてもここ以上のところはないはず」「だって私は医療現場にいなきゃ、誰かのために役に立ててる現場にいなきゃ、きっと自分じゃなくなる」くらいに思ってたもん。
 くはー。辞めた今はさー、もうさー、そうじゃなかったもんね。
 花田さんはヴィレバンを退社され、別の大型書店に勤められ、また、今はお客さんと距離が近い小さな書店の店長さんをされているそうで、本から離れない、一貫した本と共に生きる生活をされてて、私ごときと同じく語ってはいけないけれど。
 私は「誰かに安心してもらう仕事」「不安を取り除く仕事」がしたかったし、それが生きがいにもなっていた(患者さんの「ありがとうございます」って言葉で救われていた)。でも、今は「誰か」ではなく、「自分の大切な人」のために生きる方が楽しくて嬉しいなって思っている。
 たくさんの人、いろんな人、その人達を不安から守ることより、どうやら私は自分と自分の愛する人のために生きる方が良いなとこの年になって思うようになった。
 どっちが良いとかって話じゃないだろうけど、ようやく私は生きていることの本来性に気づいたから、これでいいのだ。

 話を戻して。ええと、作者の花田さん、サブカルがお好きとのことで、出てくる本も知っている本がちらほらあり、素敵なお人柄から「私も何か勧めてもらいたいなー」と思ったりもした。良書。読むといいよ。外へ出ることが怖くなくなると同時に、運や縁の引きが強い人っているんだなって思うから。


 『ほぼ日の怪談。』(ほぼ日刊イトイ新聞・編)

 ほぼ日の怪談。 (ほぼ日ブックス) - ほぼ日刊イトイ新聞, ヒグチユウコ
ほぼ日の怪談。 (ほぼ日ブックス) - ほぼ日刊イトイ新聞, ヒグチユウコ

 ヒグチユウコさんのイラストが怖い!(笑)。
 内容は耳袋的な、ほぼ日に寄せられた読者さんからの怪談体験記をまとめたものです。
 たくさん載っていたけれど、一番最初の『友達の別荘』という話が一番怖かった。
 私はこうした「体験だけを淡々とつづる系」の怪談本がとても好きでして。玉石混交なところが良い。
 ちなみに、舞城王太郎さんの『深夜百太郎 入口』『深夜百太郎 出口』が創作系では最高峰。最高オブ最高。つか、王太郎さんは天才。あ、でもあれは怪談にはならんのか。なんだろう、どういうジャンル?よくわからないけど、怖いのは本当に怖い。ものすごく怖い。『neck』も怖かったけど(映画版は最悪なのでアレは別物と思ってちょうだい)。
 
 って、王太郎さんの話ではなく。
 日常系の怪談はたまに読みたくなるよね。ああ、耳袋、また借りようかな(藤沢の図書館にあり、「これは家に持ち帰ってはヤバい本だ」と思っていつも図書館で読むため、借りたことがない。そして、100話読み切るのもヤバいような気がしてたいてい数話未読のままやめる)。

 そもそも今住んでいる家はヤバい家だったんよ。
 建て替える前はすごかった。地鎮祭をしっかりやったらだいぶ良くなり、今は常に人がいる(両親が階下にいる)から怖くない。
 あと、母が「無効化フィルター」を使える人で、旦那さんも「一緒にいると怖くなくな~る」を分泌しているから良き。
 結婚してから怖かったのは、弘前に帰った時の猿賀神社と、岡山・広島旅行の際に登った弥山が両横綱。
 猿賀はなぜ怖いのかわからないけれど、言葉にしても文字にしても怖いし、思い出しても怖い。
 弥山は山を巡回するナニカに遭遇したパターンのやつで、たぶん、悪いナニカではなかったんだろうなと後にして思った。でも恐怖心はハンパなかった。

 そう、手持ちの怪談、たくさんあるのよ。をほほ。

 友達も旦那さんも怪談が苦手なので披露する機会がなく。ここに書いたら嫌でしょう?え、書いてみようかしら。ふふ。

 あと畠中さんのしゃばけシリーズを借りているところ。もうどこまで読んでいるのかわからないけど、たぶん、まだ読んでない。

 しまぐらしで勧めてもらった西尾維新の「美少年探偵シリーズ」は、コチラ側が増長な文章に対応できないアタマだったようで、面倒くさくて半分まで読んで止めた。新井素子さんのも途中まで読んで止めた。

 本は読むときのコンディションによるので、今は軽いエッセイや怪談くらいがちょうど良いのかもしれない。

 また図書館に行ってこようと思う。図書館って楽しい。

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