杳月日記

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<<   作成日時 : 2017/06/12 10:23   >>

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 本の備忘録です。

 『極限のひと―病める人とともに』(神谷美恵子・著)


 
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 何が凄いって、私が生まれる前に出版された本だよ(笑)。
 神谷美恵子さんの、「極限の人」に対する考察の本。最初はハンセン病を患って精神を病んだ人の症例。
 その人は「神の声」が聞こえるようになり、療養所でも一切の治療を拒み亡くなったそうです。
 
 とりあえず、本が古すぎてフォントが読みにくい(笑)。
 でも、神谷さんの言葉は透明な天然水のようで、するすると染みわたるんですぐに読了しちゃいました。

 うーん。神谷さん、やっぱ優しいなあ。って思う。
 
 本文の中に「妹の結婚が自らの発病で破たんしてしまったことを知った人が発狂した」という旨の言葉があり、今は使われなくなった「発狂」と言う言葉に、その強さと苦しさが際立っているなと思いました。
 親族にハンセン病の人があると知られたら縁談が破談していた昔の日本。妹の幸せを自分が反故にしたと知って気が狂うほどに苦しんだお兄さんの心中はいかばかりか。胸が締め付けられます。

 別の本で、神谷さんの人となりを別の人が描いた文庫本を借りたのだけれど、まあ、ご本人の言葉ではない訳だし、言葉を選んで載せていてもそこに他意が入ると容易に印象操作はなされるので、流し読みにしました。

 立派な人ではあるし、聖女と称えられた人ではあるが、中井久夫先生の言うように、それだけではなくご本人なりの葛藤や至らなさに苦しむ気持ち、そして多分に周囲からのやっかみや嫉妬を受けたのだろうと思います。

 そういえば、友達からハンセン病学会の資料を貰いまして。
 ボリューミーな資料を読みました。

 関西以南では人権啓発活動とか部落問題とか、未だに活発に活動していますが、関東ではほとんど壁の後ろに隠れている感じです。
 草津の事などもっと知られても良いのになー。と思いますね。
 私は差別問題から部落問題、ハンセン病関連、へと書を進めて読んで、まあ、普通の人より少し知ってる程度に知識はあるくらい(だがほぼない)で、それでも一般人たる(それらに興味を持たないできた)旦那さんはもっと知らないそうで。
 知らない人に知らせる術は難しい。でも、決して風化させたりなかったことにしてはいけないと思う。ううむ。



 『エヴリシング・フロウズ』(津村記久子・著)

 

エヴリシング・フロウズ
文藝春秋
津村 記久子
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 小説です。
 中学3年生のヒロシの1年間。同級生とのアレコレ。母親とのアレコレ。
 津村さんらしい表現や、「津村さんの子だな」と思わせるヒロシの言動(登場人物はすべからく作者の子供という概念で話をしています。別に津村さんの子供の話ではありません)にキュンと来たりグッと来たり笑えたりします。

 私は中学生男子が蛇蝎のごとく嫌いでしたが、少しは苦手意識が薄れたかもしれません(笑)。

 さわやかな青春物語、という感じでもなく、ヒロシの淡々とした様子に少し隣で寄りそいながら見守る気持ちになれる本でした。
 読後感が良いのは相変わらず。面白かったです。



 今は中井久夫先生の『徴候・記憶・外傷』と、ジュリアン・バジーニ著の『100の思考実験』を併読しています。
 『100の〜』の方は以前、津村さんが本の中で取り上げていたもので、旦那さんが借りてくれたのを読んでいる感じ。すんなり頭に入るものと入らんものがある。

 中井先生の方は前に読んだ本の中で一番おもしろいです。すごいおもしろい。めっちゃおもろいで。

 わかりやすく、ずっと膝を打ちっぱなしであります。

 以下引用。

 「友人の神田橋條治というと、非常にいい勘をしている治療者なんだが、彼は『鬱病ではいちばん得意と本人が思っている能力がまっさきにやられるからつらいんだ」といっている。」

 それな。まじ、それな。
 逆に統合失調症は、「発病の過程で、『自分がかねがね持ちたくて持てないと思っていた能力が向こうからやってきてやすやすと手に入りそうに思えてくるから誘惑的だ』といいたい。」そうです。なるほど。

 友人の弟君は食べることも作ることも大好きで得意だったのに、仕事がしんどくて味がわからなくなりかけた時、「これはヤバイやつだ」と仕事を減らしたそうです。
 そうやって、自分が好きと思えるもの、得意と思っている能力がヤラレてると自認したら、少し休むなり手を抜くなりした方が良いですね。鬱病気質傾向の私達よ。

 私の場合はどうだろう。真っ先に食べられなくなるのは苦痛ではないが、寝られなくなるとか、創作意欲が沸かない(文章が書けない)、言葉が発せられない、これらがツライ。
 次第に音に対して敏感になり、恐怖を感じる。

 統合失調症では味蕾が充血して過敏になるんですって。味が変に感じたり、いつもと違って感じるらしいん。だから、妄想とかと相まって「誰かが毒を持ったんだ!」とかなる。
 そう考えると、統合失調症気質とは逆の鬱病気質にとっては、味はやはりわからなくなるものなんだと思う。

 食べているモノが美味しく感じられなくなった時、何を食べても無味乾燥になった時、そもそも食べるということ自体に苦痛を感じる時、気をつけろ!奴はすぐ後ろにいる!!


 まだ読んでる途中なので、外傷性障害(PTSD)について等、興味深い話がこれからも続きそうです。
 あと、外傷性障害と外傷性反応は違うという話。
 何かとても衝撃を受けた時、人間は誰しも一過性の反応を示す。これを、潜在化して後に人を脅かす外傷性障害と同じく考えてはいけないとのこと。
 確かに、ハナが旅立った時の抑うつ状態は外傷性反応の一つでもあろうが、それがいわゆるPTSDになることはなかった。これらの大きくとも浅い傷を乗り越えながら人間は生きて行くのであろう。

 それと、フラッシュバックについても興味深かった。
 19年前の挫折体験(クリニックを辞めてから今のクリニックに勤めるまでの、たぶん、8カ月間くらい)は、もう、固定化した恐怖だから、フラッシュバックを起こすのも無理からぬことであるのよ。
 だから、再就職が怖いのも仕方ない。自分の中でフラッシュバックを起こすほどの外傷であったということで、傷は傷として認知し、それを解体して乗り越えれば良い。大丈夫。乗り越えられる。

 前記事に書き損ねたけど、「夫」とは心強い。
 友人が言うところの「親以外の、自分の味方でいてくれる他人」の存在は計り知れないほど大きく、また、ありがたいものであると思います。

 結婚で運を使い果たしたから、もう残ってないような気はしつつ。
 あとは、「リトル自分」の言葉を信じようと思います。ロジックに頼るな、勘に頼れ。そうやって生きてきたし、これからもそれで良いと思えるくらいの人生ではあった。笑。


 もう少し賢くなりたいとは思うがなー。まだ本を読み続けます。

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